建築レポート

2026.09.07

京都市京セラ美術館

先日、京都市京セラ美術館に行ってみました。
目的は『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』を見るためです。
(会期:2026年6月3日〜9月6日)

 

 

予てよりこの『京セラ美術館』については気になっており、
古めかしい歴史を感じさせる上物の建物に対して、
その下には明らかに異物が差し込まれたように配置されたガラスのエントランスには興味がありました。
調べてみると、本来は京都市美術館という公立の施設であり、
歴史的にも東京都美術館に次ぐ歴史の長さがあるとのこと。
その開館80年を記念してリニューアル工事が計画され、
公募型プロポーザルにより、青木淳・西澤徹夫設計共同体の案が採用された経緯があります。

 

また『テート美術館』にも少々思い入れがありました。
イギリス、ロンドンにある火力発電所を美術館にリノベーションした建築物で、
設計はヘルツォーク&ド・ムーロン。
当時まだ学生だった時に知るのですが、ヘルツォークという建築家と、
無骨なレンガ造りの発電所の外観をほぼそのまま残した設計手法を含め、大きな影響を受けています。
同時に、現代アートにも関心を持ち始めたのもこの頃でもあり、
ダミアン・ハーストなど当時の先端を行くアーティストの存在を知るきっかけでした。

 

ダミアン・ハースト《後天的な回避不能》1991年、テート美術館蔵


コーネリア・パーカー《コールド・ダーク・マター:爆発の分解イメージ》1991年、テート美術館蔵

 

この展示会を見た感想ですが、
当時のイギリスの風潮を理解しないと本当の意味で作品の意図が理解できない、
日本人の自分にとっては難易度の高い展示会でした。
例えて言うならば、
日本の高度成長期における安保闘争や政治不安を下地にした前衛芸術やサブカルチャーを海外の方がどれほど理解できるか?
といった感じでしょうか。
それでもダミアン・ハーストの作品に出会うことができ、
京セラ美術館にも体感できたことは十分価値があったと思っています。
特に美術館内から見える中庭の風景は一見の価値があると思います。(敢えて写真は載せません)

 


 

ただひとつ疑問として、なぜ『京セラ』美術館なんでしょう?
改修計画と並行して計画されたのがネーミングライツで、
その費用は館の維持費だけでなく改修工事費にも充てられたようです。
もちろんこれについては反発もあり、公共施設に企業名が入ることに反対する市民運動もあったようです。
結果的に地元企業の京セラが命名権を取得する事になったのですが、
過去には京都タワーや京都駅に対する景観問題なども含め、
歴史のある土地と文化の新陳代謝の活発な京都だからこその問題であって、
それらもひっくるめて文化なんだろうなぁ、と自分は理解しました。

 

 

ちなみに、たいていの方は美術館からすぐ近くの平安神宮に訪れる事が多いと思われます。
周辺にも多くの施設があり1日かけて散策するのもよいかと思いますが、
当日は炎天下の中で歩き続けるのに限界があり、早々に引き上げてしまいました。
また機会があれば訪れたいと思っています。

 

一級建築士 牧田

TEN ARCHITECTS DESIGN
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