閉じて、ひらく家
WORKS
視線をかわし、光と空を招き入れるコートハウス

閉じて、ひらく家

閉じて、ひらく家
構造
木造2階建 軸組み工法
家族構成
ご夫婦・子供2人
エリア
静岡県三島市

利便性がありながら、穏やかな静けさも残る三島市の住宅地。建て主は、その二つをほどよく併せ持つこの土地に出会い、新しい暮らしの場所に選びました。

一見すると恵まれた敷地でしたが、計画を進めると、一つの難しさが浮かび上がりました。光を取り込みたい南側と、隣家からの視線を遮りたい方向が、ほぼ重なっていたのです。

素直に南へ開けば、隣接する三階建ての住宅から室内や庭が見えてしまう。

しかし、視線を避けるために窓を閉ざせば、光や開放感まで失われてしまいます。

そこで私たちは、光を得ることと、プライバシーを守ること。その相反する条件を両立させるため、外周を壁で囲み、暮らしの中心を中庭へ向けて開くコートハウスを提案しました。

街に対しては、開口を抑えた静かな佇まい。

一方、玄関の扉を開けると、視線は室内の先にある中庭までまっすぐに抜け、外観からは想像できない明るさと広がりが現れます。

リビングと中庭は大きな開口で一体につながり、カーテンを閉めることなく、光や空の移ろいを感じながら過ごせる場所となりました。

建物を囲む壁の一部は、端部を斜めに切り取った印象的なデザインとし、その奥から格子がのぞきます。

すべてを一様に閉ざすのではなく、壁の角度と格子によって視線を緩やかに制御し、閉塞感を和らげながら外とのつながりを残しました。

斜めの壁が光と影に変化を与え、見る位置によって表情を変える、住まいを象徴する意匠です。

中庭では家族で食卓を囲み、子どもが安心して遊ぶことができます。

壁は暮らしを閉じ込めるものではなく、その内側に自由と安心を生み出すための境界です。

閉じることで、内側を大きくひらく。

敷地が抱えていた光と視線の矛盾を、家族だけの空と開放感へ変えた住まいです。

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