建築レポート

2026.06.05

素材の意味-土地の意図-

 

島根県の出雲大社を訪れた際、少し休憩しようとお手洗いへ向かいました。

その途中で目に留まったのがコンクリートでありながら木の表情を感じさせる、杉板型枠によって仕上げられている建物でした。

 

 

周囲の塀にも縦模様の杉板型枠が使われている徹底ぶりで、

単なる意匠ではなく何か理由やこだわりがありそうだと思いました。

「なぜ、あえて杉板型枠を使うのだろう」

 

そんな疑問から調べていく中で、出雲大社の境内にかつて建てられていた、建築家・菊竹清訓設計の「出雲大社庁の舎(1963年)」にたどり着きました。

この建物は神職の事務スペース、宝物館として建てられ利用されていたそうなのですが、残念ながら維持管理の難しさなどから2016年に解体されました。

一部は現在も残されているそうです。

出雲大社HP:https://izumooyashiro.or.jp/attention2

建築パース:https://kenchiku-pers.com/photo/administrative_building_of_izumo_shrine/

杉板型枠の跡が残るコンクリートの表情には、単なるデザインを超えた意味が感じられます。

出雲大社という歴史ある場所に対して、その土地に根付く木造建築の文化や風景を読み取り、現代の建築として表現する。そこには建物単体ではなく、周囲の環境や歴史とのつながりを大切にする設計思想があります。

建築を考えるとき、つい新しさや機能性に目が向きがちですが、その場所に以前から存在していたものの特徴や素材、積み重ねられてきた時間を読み解くこともまた大切な設計の要素です。

「なぜこの素材なのか」
「なぜこの形なのか」

その理由を掘り下げていくと、建築家のこだわりや、その場所への敬意が見えてきます。

建物をつくることは新しいものを生み出すだけではなく、その土地の記憶や文脈を未来へつなぐことでもあるのだと感じました。

 

作成者.aki

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