建築レポート

2025.10.26

大阪万博大屋根リングは残すべき?

10月13日、半年にわたり開催されていた2025年日本国際博覧会が閉幕しました。

みなさんはいかれましたでしょうか。私は行くことができたのですが、藤本壮介氏の設計した大屋根リングは圧巻でしたね。

これを見れただけでも来た価値はあったと思いました。

大空間を支えている柱や梁は、日本の神社仏閣などの建築に使用されてきた伝統的な貫(ぬき)接合という工法が使われています。

上に登れば万博会場や大阪湾を一望でき、さらに日よけ雨よけの機能も果たしています。

全体を俯瞰してみると、ほんとに世界各国多種多様な人がいて、それをリング(環)がひとつにまとめているような一体感を感じました。

この大屋根リングですが、リングの北東側約200メートルを原形に近い形で保存し、市が周辺を含めて「市営公園」として整備する方針で話が進んでいるようです。

ニューヨークのハイラインのようなイメージでしょうか。

 

ここで感のいいみなさんなら、大屋根リングは建築基準法第85条第6項および第7項に基づく「仮設建築物」として許可を受けて建設されているからこのまま残すと違法建築になってしまうのではないか。?と疑問に思うかと思います。

 

確かにそのとおりで、万博のパビリオンや大屋根は、建築基準法上、「仮設建築物」として許可されています。これは、「博覧会」という短期間のイベントで使うことを前提に、耐火性能や避難規定など、法律の基準が大幅に緩和(免除)されている状態です。

そのため1年を超えて建築物として恒久的には存在させるためには建築基準法に適応しなければならず、構造部材を燃えにくい材料で覆うなどの処置が必要になります。つまり木を表面には出せないのです。それではあまり意味がない気がします。

(これは私たちの実務でも似たような事があります。吹き抜けで梁をあらわしで出したいのに省令準耐火の制限でそれができないなど。)

 

では、どうすればいいのか。

それは、大屋根リングを展望台などの「工作物」として扱う。です。(正確には準用工作物)

工作物とは、土地に定着させて設置した人工物のことを指します。例 鉄塔 電柱 擁壁 など

要するに工作物建築物ではないので建築基準法は適用されない。というロジックです。

 

この方法なら残すことはできそうです。

ですが「莫大な維持コストがかかる」と課題もあります。

試算では改修工事で約40億円、10年間の維持費で15億円かかるそうす。そのコストを税金から払うのは腑に落ちない気もします。

そもそも200メートルだけでは環のつながりを体感することができるのか?という疑問は残ります。

みなさんはどう考えますか。

 

一級建築士 櫻井

 

 

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