建築レポート

2025.11.16

年縞博物館 ── 時を重ねる建築

以前友人がいる福井県の若狭町というところにある「年縞博物館」を訪れました。
三方五湖のひとつ、水月湖の湖底に積み重なった7万年分の地層「年縞(ねんこう)」をテーマにした博物館です。
建築そのものが「時間の積層」を感じさせるような構成で、自然と調和した静かな佇まいが印象的でした。

◎大屋根がつくる風景との一体感

正面から見ると、深く張り出した大屋根が大地に包み込まれるようにかかっています。
この勾配の強い屋根形状は、周囲の山並みと呼応するようにデザインされており、建物自体が風景の一部となっています。

軒裏には木の美しい柾目が現れ、光の当たり方で時間帯ごとに違った表情を見せます。
屋根を支えるのは鉄骨トラスと集成材の組み合わせ。
力強さと軽やかさが同居する構造で、建築の骨格そのものが美しい造形として表れています。

◎素材の重なりと構造の見せ方

外観はコンクリート、鉄、木の素材が明快に整理され、それぞれの質感が引き立て合う構成。
特にコンクリートの柱や梁には杉板型枠仕上げが施され、木目の跡がやわらかく光を受け止めています。

足元には砕石や芝生、デッキ材が連続的に配置され、建築と地面の境界を曖昧に。
自然の中に建築が溶け込むような風景がつくられています。

◎内部空間に流れる「時間」

館内のメイン通路は、長く伸びる一本の軸で構成され、
木梁と鉄骨ブレースがリズミカルに並ぶ様子はまるで「時間のトンネル」。

コンクリートと木の質感が交差する空間に、
均一に設けられた水平照明が静かにラインを描き、
展示内容と建築デザインが一体となって「時の積層」を語りかけているようでした。

年縞博物館は、自然と建築、構造と素材が高い精度で調和した建築でした。
大屋根のスケール感や構造体の見せ方、軒先の厚みや素材の継ぎ目に至るまで、
「長い時間を受け止める建築」というテーマが貫かれていると感じました。

山と川、風と光の流れの中で、建築が静かに時間を包み込む。
その穏やかで力強い佇まいは、訪れる人に“時間の重なり”を体感させてくれます。

「年縞」という膨大な時間の記録を、どう建築として表現するか。
その答えが、この建物にあったように思います。
屋根の下に広がる静かな空間に立つと、
過去と未来をつなぐ“時間の建築”を感じることができました。

 

一級建築士 鎌形

TEN ARCHITECTS DESIGN
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